行方不明


夕方のこと。連絡放送(住んでいる地域で市や警察などが住民に連絡する放送)で行方不明の放送が警察署から市内に放送されていた。
その時は二階でパソコンに向かっていて、”またお年寄りがいなくなっちゃったかな?”くらいに聞き流していた。
が、スピーカーから流れてくる内容に「身長100センチくらい」というのがあり、手が一瞬止まる。にいにと同じくらい。
耳を傾けると聞き覚えのある名前。階段を駆け降り、放送がよく聞こえるように外に飛び出す。
行方不明になっているのは同じ幼稚園の同じ歳の子。一人は同じクラスで今日は一緒に体操教室をしてきたはず。
疲れきって寝ているにいにを起こそうとするが、さっぱり起きやしない。でも心配で心配で、ドキドキして何も手につかない。
同じクラスのお友達のママにメール。でも焦ってメールしたのでわけのわからない内容に。
それでもすぐに電話がかかって来て、内容を伝える。行方不明になっている子の家に電話しても、幼稚園に電話しても状況的に邪魔になるだろうし、どうしたものかと話しをしていて「共通の知り合いがいるから電話してみるね」と言ってくれ、折り返しの連絡を待つ。
何もありませんようにと祈る気持ちでいる。外はどんどん暗くなる。再度連絡放送が入り、急いで外に出て放送を聞く。「先程の行方不明の〇〇さんと〇〇さんは午後〇〇時頃〇〇で無事発見されました」と。
よかった。ほんとよかった。安心した。
メールしたお友達のママからも再度メール。よかったねと。ほんと何もなくてよかった。
結局夕方寝てから爆睡中のにいにには明日の朝、少し話しをしようかと思う。
なによりご家族もきっと心配しただろう。ワタクシは何にも出来なかったけれど。何だかそんな自分に複雑な気持ちでいた。